平成31年,令和元年月報




いのしし



平成31年1月(2月3日記)
 
1月の受診の方は約1,090名でした。平成最後の年を迎えました。T大統領はメキシコとの間に壁を作ろうとしているようです。歴史を見ると 物理的な壁を作った国は必ず衰退・滅亡しているように思います。万里の長城を築き、北方の騎馬民族を防いだ中国は最終的に文明の発達が止まり 欧米列強に蚕食されました。古代ローマ帝国もイギリスやドイツに長大な壁を作りましたが、結局はゲルマン系民族の侵入を阻止できず、滅びました。近くはベルリンの壁を作った社会主義体制も崩壊しました。おそらくは物理的に壁を作り 他の文化や外国人を拒否しようとすること自体が その本国の文化や経済の衰退・敗北を示唆しています。将来の滅亡を予言するものと思います。現在のアメリカも危ないものです。



平成31年2月(3月3日記)
 
2月の受診の方は約1,070名でした。例年のように寒さのため、高齢の方の受診が減りました。二回目の米朝首脳会談は日程すら こなせず、友好的な写真もなく 決裂したようです。両首脳は二人ともバランスのとれた人物とは言い難く、気分次第で行動するようですので (その意味では二人は似ている)会談の席上で 感情もあらわに“ケンカ”したのではないでしょうか。偏狭な政治家は 狂信的思想に基づいて 戦争をはじめたり、惨事を起こすことがあります。(ヒトラー、スターリン、毛沢東など)当面は北朝鮮がどこに行くのかが心配です。偏狭な政治家たちが排除され、全世界の人々が普通に安全に暮らせる時代が来ることを祈るのみです。




平成31年3月(4月3日記)
 
3月の受診の方は約1,120名でした。平成 最後の4月で 神経科医になって40年になりました。あっという間に感じますが、思えば遥かにやってきたものです。当時は神経科に入局すれば、“開業医”など思いもよらないことでした。症状の記載は ほぼドイツ語で、ドイツ原書の輪読会や翻訳作業がありました。その時に習った、人間理解や了解、現象学にもとずくオーソドックスな精神病理学を今も診療の柱としています。真夏でも長白衣にネクタイの服装も守っています。英米流のデジタル診断には今もなじめません。40年間には多くの人物に出会い、別れ、喜びもあり、様々な苦しみがありました。過去の多くの出来事が今は“笑い話”になりました。これからも最善を尽くして 生きていこうと思います。世代交代になるかどうか分かりませんが、今月から娘に診療の一部を手伝ってもらいます。




さくら



平成31年4月(4月28日記)
 
4月の受診の方は約1,100名でした。5月1日、新元号「令和」を迎えます。平成時代はおおむね平和でしたが、天災とテロとポピュリズムの時代であったと思います。ネットの発達があり、だれでも自分の意見を世の中に発信するとが可能になりました。しかし、逆にネット上で発言すると、他人の直接的な批判(炎上など)や悪意に満ちた反論等などにさらされます。むしろ 自由に本音を発言することが困難になったかも知れません。また、世間一般の常識が真実とは限らず、真理も大多数の声にかき消されてしまう可能性があります。仮にガリレオの時代にSNSがあり、彼が「それでも地球は回る」とツイートしたら、どうなっていたでしょうか。大炎上してアカウント停止などになっていたと思います。現在の世界には共通のコンセンサスがないため、甲論乙駁して進むべき方向が定まりません。そのためもあって 大局観や哲学のない人物たちが大衆の一時的人気を獲得して首脳となっています。現在の戦争は人類絶滅の可能性があるだけに「人気取りのため」他国を攻撃することになればになれば恐ろしいです。新元号になり、気分一新したいです。新時代は「命令に和して首相に忖度する」のではなく「麗しい平和」にしたいものです。



令和元年


令和元年5月(6月3日記)
 
5月の受診の方は約1,070名でした。9連休をいただきました。改元がありました。グロ―バル化が進む中、日本伝統文化が貴重に感じました。少なくとも気分を引き締めるという意味では改元は良い効果があったと思います。他方、5月は薬物依存やひきこもり、高齢者の運転など、神経科関連の問題が目立ちました。現在は 何でもキチキチする高EE傾向が社会全体に広まって 社会的弱者(ひきこもりの人や高齢者も含む)に対して 以前より厳しい目が向けられています。寛容さがなく 生きにくい世の中になったと思います。容疑者の行為は許せるものではありませんが、その処遇については治療的側面を重視してほしいと思います。具体的にどのようにするのかは国民的コンセンサスがの形成が必要で それには政治の役割が大きいと思います。令和は確実に「物より心の時代」です。



令和元年6月(7月3日記)
 
6月の受診の方は約1,100名でした。T大統領とK委員長が電撃的に会談しましたが、ツイッターで呼びかけてアドリブで会うなど、今まで信じられない展開です。まるで我々が友人に会う時のようです。遠い目でみれば、両者には合意点(落としどころ)がないと思います。T大統領は「核」を永久に放棄させたいでしょうし、K委員長は「核」にしがみつくでしょう。「人生は近くで見ると悲劇だが、遠くで見るとコメディだ」とチャップリンの言にありますが、朝鮮半島の情勢は「近くで見るとコメディで 遠くでみると悲劇」のような気がします。我々も備えておく必要があると思います。




令和元年7月(8月3日記)
 
7月の受診の方も約1,100名でした。日韓で紛争が起こっています。争えば 必ず 両国とも国力が低下し、国際的な地位も損なわれれるでしょう。我が国については莫大な借金と人口減少問題を抱え、隣国とあらそっている余裕はないと思います。一方、韓国が主張するように「個人の被害は 歴史的な事象によるものでも子々孫々まで補償を請求する権利がある」なら、ヨーロッパの列強は旧植民地に莫大な賠償金が必要で そのため各国は破綻するでしょう。アメリカに至っては先住民に土地をかえせば、国土がなくなります(ニューヨークに近いロングアイランドには 実際 先住民から土地返還訴訟があると聞きます)。日韓両国が傷つけば北朝鮮や中国、ロシアなどがよろこぶに違いありません。(経済面ではアメリカも)大人の解決法はないのでしょうか。




クローバー

令和元年8月(9月3日記)
 
8月の受診の方は約1,090名でした。8月2日、開業15年となりました。無事、健康で迎えられたのは皆様のおかげです。開業当時と比べると、神経科クリニック数は大幅に増加し、診療報酬も下げられ続けています。向精神薬の複雑な多剤処方規制も実施されています。経済面では神経科クリニックの未来は明るくないです。しかし、時代の巨大な潮流は“物質から心へ”です。人類の進歩には“心の専門家”の役割がますます大きくなるでしょう。ひるがえって 日本には(世界の大部分の国と違って)共通の宗教や哲学がありません。僧侶や牧師に当る人が身近にいません。その意味では“心の専門家”は医師やカウンセラーなど神経科関連の職種のみです。今後、医療以外の分野で“心の専門家”として役立つ場面が増えるでしょう。神経科は未来にひらけた“成長部門”であることには違いありません。
○ローカルでは 9月、クリニック奥の“のぞみ薬局”が廃止になり、手前の旧泉州銀行跡に“らいん薬局”がオープンしました。




令和元年9月(10月3日記)
 
9月の受診の方も約1,090名でした。世界の情勢は不穏で“百家争鳴”の感が一層強くなったように思います。あらゆる矛盾や対立が先鋭化していると思います。ネットの普及も一因ではないでしょうか。普通の個人が世界中の人と 直接 コミュニケーションできるようになりました。このため、「姿かたちは変われども人間は皆同じ」という感動とならんで、「同じような姿なのになぜ彼らは我々のことが分からないのか」のとの怒りが世界中で起こっているように思います。我々はネットという手段でパンドラの箱を開けてしまったようです。ただし、神話では パンドラの箱から、あらゆる災害が出た後、箱の中に残ったものは“希望”であったそうです。我々も最後には“希望”を手にしたいものです。




令和元年10月(11月3日記)
 
10月の受診の方は約1,100名でした。消費税率が10%になりました。先日、アトピー性皮膚炎を合併しているの患者さんの話を聞きました。すると アトピーとステロイド剤との関係は、睡眠障害・不安障害とベンゾジアゼピン(BNZ)との関係と(非常に乱暴な話と分かっているのですが)相似していると思い当りました。ステロイド、BNZとも対症療法ながら“よく効く”ため、非専門医が限度を超えて処方したり、あるいは患者さん自身が自己調整して過量に使用しがちになります。その結果、依存性や副作用の方が世間で有名になって、多くの非専門医や患者さんからから使用を危険視され、毛嫌いされてしまうというパターンです。早い時期(時代)から、医師でも経験なく処方したり、患者さんが自己流で調整することなどは厳しく規制すべきであったのです。「薬と毒」は紙一重なのです。ステロイド剤やBNZの忌避のため、多くの人々のQOL改善の機会が失われています。



いちょう

令和元年11月(12月3日記)
 
11月の受診の方は約1,090名でした。寒さがますと、11時以降の来院の方が増え、日没後は減ります。日韓が「勝った」「負けた」と子供のけんかをしています。中国の孫子は戦って百戦百勝するより 相手と戦わずして主張を通すことをすぐれた策としています(百戦百勝、非善之善也、不戦而屈人之兵、善之善者也)。現在の日韓問題は抜き差しならない状況となっています。A首相もM大統領も打開策なく、両方とも大局が見える器ではありません。国内の支持率のみ気にして、嫌韓、反日を煽っています。北のK委員長はほくそ笑んでいることでしょう。このまま、両国政府が国民感情をあおり続けていると、大衆は理性でなく感情で動くので、かつてドイツ民衆が国内のユダヤ人を攻撃した水晶の夜のような事態が両国内で起こらないか不安です。それこそ第三次世界大戦の導火線となるかもしれません。“戦わずして解決する”大人の解決法のできる人物はないのでしょうか。




令和元年12月(12月30日記)
 
12月の受診の方は約1,120名でした。年末を控え、お薬を取りに来られた方が増えました。今年は改元がありました。国際情勢は緊迫度を増し、(日本も含めて)正々の旗、堂々の陣の国がありません。個人的には健康で大過なく過ごせています。私が一人で出来ることはほとんどありません。通院されている方々、スタッフのみなさん、訪問看護や薬局、関連医療機関など関係者の皆様のおかげで、(多少なりとも)世間のお役に立っているものと思います。これからも名利を求めず、健康に留意して一日も長く診療したいと思います。
令和2年を迎えるに当って皆様の健康とご多幸をお祈りいたします。




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